満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えたどーんとくる冒頭文はさすが(というのも失礼だが)だなと思う。
若々しい九十歳の前向きな恋の話。
九十歳がこんなにも、頭がシャキッとして物事を考えられるのかとか。お前は一体幾つなんだとか。想像している九十歳から程遠い。
ところどころ、脈略もなく急に四十代とか五十代の回想にトリップして話がわからなくなったり、14歳の少女が物語中一言も会話をしなかったりと不思議なところも多かった。
この爺さんみたいに、前向きに百歳を迎えることを楽しく考えて生きることが出来るのだろうか。