結論としては怪しい部分はあるものの出来そう。
以下から紐解いてみる。
フリーエージェント規約:http://jpbpa.net/up_pdf/1284364512-578244.pdf
日米間選手契約に関する協定:http://jpbpa.net/up_pdf/1415704396-921151.pdf
野球協約:http://jpbpa.net/up_pdf/1415704289-885807.pdf
1.国内FA権を行使した後にポスティング制度を利用出来るのか?
<フリーエージェント規約第6条6項より抜粋>
当該選手が、旧球団以外のこの組織のいずれかの球団と新たな選手契約を締結し、かつ、支配下選手の公示手続が完了するまでは、当該選手は、旧球団の契約保留選手と見做され、その全保留選手名簿に記載されるものとする。
つまり、国内他球団と契約締結するまでは旧所属球団の保留選手に当てはまるので、球団はポスティング制度の容認が出来る。
フリーエージェント規約の記載に、FA権を行使した選手についてポスティング制度の利用を禁止する条文はない。
ただし、微妙なのはフリーエージェント規約の以下の部分。
<フリーエージェント規約第6条第5項より抜粋>
海外FA資格を取得していない選手が、本条第1項の規定により、FAの権利を行使した場合、当該選手は、この組織のいずれの球団とも選手契約を締結することができるが、それ以外の国内外のいかなる球団(プロフェッショナル野球組織又はいわゆる「独立リーグ」に属するものをすべて含む。)とも選手契約を締結することはできない。正論で行くとこれが正とされて、NPB以外の球団と契約出来なさそう。なので、NPBがこれを盾に取れば移籍を止めることは出来る。ただし、球団がポスティング制度の利用を認めた場合日米野球協約とフリーエージェント規約の優位性等について記載はないので、おそらくコミッショナー裁定となると思われるため、おそらく大丈夫。
よって、国内FAとポスティング制度の併用は可能(ただし、NPBが不承認とする可能性はある)
2.所属球団(オリックス)があくまでポスティングシステムを許可しない場合どうすればよいか?
交渉の過程で、オリックスがポスティングシステムの利用を認めなかった場合、残留か国内の他球団への移籍となるがメジャーリーグへの移籍を前提として考えると、どちらの場合もFA権を行使しているので海外FA権の取得は最短4年後となる。だが、以下の規約の条文から、獲得球団のポスティング制度の利用禁止は最短来オフまでの制限なので来オフにポスティング制度の利用を前提とした契約をしてくれる球団に行けば海外FA権取得と同じ条件でメジャーリーグへの移籍自体は可能。
<フリーエージェント規約第13条>
獲得球団は,国内FAの権利を行使したFA宣言選手について,同選手が当該国内FAの権利を行使しなかったとしたら海外FA資格を取得したであろう時点までは、日米間選手契約に関する協定8項ないし12項所定のポスティングの手続を採らない。なので、残留しようが国内移籍しようが契約条項にさえ盛り込めばメジャーリーグへの移籍は(フリーエージェント規約に変更がない限り)海外FA権取得と同じタイミングで可能
3.オリックス、他の国内球団はどうするのか?
金子がメジャーリーグへの移籍を前提とすると、
オリックス・・・金子が来季怪我などせずに今季と同様に活躍出来る前提ならば、残留してもらい来オフのポスティング容認が一番メリットが大きい。だが、楽天の球団創設時の岩隈と同様に球団・企業イメージに影響する可能性が高いので今オフのポスティングを認めるだろう。
国内他球団・・・もし、オリックスとの調整が不調に終わった場合に獲得するとなると以下の対価交換になる
得られるもの:金子との1年契約+来オフ(最速)のポスティング制度で得られる補償金
失うもの:金子の年俸×25%(推定5000万)+補償選手 or 金子の年俸の40%(8000万)
これを比較した場合、獲得した方がメリットは大きいように思う。今の相場であれば来オフ最大で20億円が手に入るので。
というわけで、結果的に心情的な問題を除けば誰も損しない選択になっているように思う。金子本人と代理人または弁護士が考えたんだろうけど有能。ただし、FA規約を変える論議になりそうな気がするので最初で最後のケースかも。かつ、金子クラスの選手でないと出来なさそう。
ちなみに、楽天には1年でももちろん来て欲しいです。