2012-10-27

[本]あるキング


伊坂幸太郎の野球小説。
野球ということで、序盤面白みが他の読者の三倍増し位で読み進んだ。だが、後半部分はなんとも中に入ってこない感じの浮いた物語になって進んでいってしまい、そして終わった。
序盤部分は個人的に面白かったのは間違いない。
だが、スポーツを扱うフィクションは小説と言えどもキャプ翼状態にならないと物語が成立しなくなってしまうのだろうか。スリップストリーム的な感じだからしょうがないじゃんと思えないのは、それが野球だからなのだろうか。

伊坂幸太郎の本は、『魔王』『チルドレン』からの3冊目で(オーデュボンの祈りが途中だったことは今思い出した)そのうち2冊が”伊坂幸太郎らしくない”という評価の本なので、他の人が思っている伊坂幸太郎っていう作家がどういう作家なのかは正直わからない。が、”これでいいのだ”という感じで(適当な表現でない気はする)よくわからないけれども進んでみる。といったことを書く作家だなというのが個人的な印象。実際、この小説でもシェイクスピアの『マクベス』の”Fair is foul, and foul is fair"からきているこのフレーズが何度も使われこの小説の根幹をなす言葉になっている。

野球で言えば、「フェアだ!」と叫ぶのと同じかもしれない。ファウルじゃない、フェアだ!だから自信を持って走れ
この小説が初めて読んだ野球小説だと思うが、巻末の解説で柴田元幸が紹介している以下の作品もいつか読んでみようかと思う。

『素晴らしいアメリカ野球』/フィリップ・ロス
『カストロを敵に回して』/ジム・シェパード
「ザ・ナチュラル」/バーナード・マラマッド

[追記]
フィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』以外見つからない。邦訳がないのだろうか?絶版なのだろうか?

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